自転車の旅の道中、途中でパンクしたであろうギャルチャリダー発見!俺『パンクですか?』女『△✕÷◯あうったー』俺『(あ、日本人じゃない)』←これが彼女との出会いだった。。

自分は三年連続となる自転車の旅の準備をしていた。
今回の目的地は無く、期間も1週間から20日くらいと言う大雑把な感じ。
テーマは【風の吹くまま気の向くまま】
今日は昼過ぎ迄寝ていた。出発の初日からグダグダだが
前期試験が直後なので少し位だらけていても良いだろうと早速適当だった。
曇天模様、しかし雨の降らなさそうな自転車旅行には最高の条件。
荷物を載せ、柔軟体操をしてから自転車に跨りペダルを漕ぎ始める。
普段走り慣れている道は不安もワクワクも特になかったが
良いペースで新札幌駅を通過した。
その時パンクした自転車と、その横にガードレールに背中を預けたまま
下を向いて地べたに座っているチャリダーを発見。
ロン毛、金のような茶髪。極力関わりたくないギャル系。
とはいえ自転車屋が近くに無いので声をかけてみた。
「パンクですか?」
ビクッΣ(゜o゜;)
あ、外国人だった。
(´・ω・`)△✕÷◯□あうったー□+※
ロシア人か?どこか怪我したのか?全くわからなかった。
( ;ω;)!ヘルプ!
英語は話せるみたいだ。
「Are you OK?」
( ;∀;)おけー
「I fix your cycle、please wait a little.」
( ;∀;)きーとす
なんだかよくわからないが、多分お礼かOKって意味だろう。多分。
自転車を近くのコンビニ前に移動する。
タイヤを外し、チューブを取り出し空気を入れて
ボトルの水をかけながら穴をチェックして行く。
あった。ヤスリをかけ、パンク修理ゴムを貼り、叩いて…
作業中に気になったので聞いてみた。
「where are you from?」
(*´∀`*)すおみ!
「すおみ?」
(*´∀`*)!ふぃんらんど!
話を聞いてみると千歳空港から来たらしく、この近くでパンクしてしまい
あちこち自転車屋を探したが結局わからず疲れて休んでいたところだった。
チューブを戻してタイヤをつけて空気を入れる。
ついでに自転車につけた荷物のバランスがバラバラなので付け直してあげる。
(*´∀`*)きーとす!
きーとす、お礼の言葉みたいだ。
(*´︶`*)ノもいもーい
彼女はそう言って自転車に嬉しそうに跨り走りだした。小さなバックを置き忘れたまま。
「Wait !!」
気づいてない…急いで修理道具を自分のバッグに突っ込み自転車で追い掛ける。結構速い!
しばらく追いかけ、信号で追い付く。
「Wait.」
Σ(・д・ノ)ノビクッ
バッグに気付くと(〃゜Д゜〃)きーとす!
この娘…なんか不安だ。飲み物も見当たらないし。
近くのコンビニで聞いてみた。
「Where do you want to go?」
(*´∀`*)しれとこ
見事に逆走してる。ダメだ。物凄いダメな娘だ。
「知床 is over there...about 500km」
(´・ω・`)あいやー…
あ、ショック受けてる。アイヤーって…ここは中国じゃないです。
どうせ暇つぶしの旅だし、思い切って俺も久々に知床チャレンジしてみるか。
「May I help you ?」
(*´∀`*)いえす!
ノリと勢いでフィンランド人の手伝いをしてみることにした。
地図を広げ、旭川、北見、網走、知床で泊まり、観光。
同じルートを戻って来るのが時間的にも良い事を伝える。
(`・ω・´)…←多分わかっていない。絶対わかっていない。
「OK.I'll support your travel.OK?」
(´・ω・ `)りありー?さんきゅー!
時間も時間だし、今から出発しても
微妙な場所に行く距離になりかねない為一旦我が家に向かう事にする。
道中
「Today, you have to stay my house.」
あ、黙った。そりゃそうだ。怪しいもん。
「Next day,We go to 旭川,about 120km.OK?」
暫く考えたらしく
(`・ω・´)おーけー。
そして我が家にフィンランドから来た旅人が泊まることになった。
名前はスオミからとって一応スミーとしておく。
アパートにつき、自転車から一度おろした荷物を部屋に入れたあと
トイレと風呂の場所を教えて、寝室に案内する。
ベッドの布団をリビングに持って行き自分用に
かわりにベッドに来客用布団を敷いて彼女に貸す。
その間スミーは(*´∀`*)くーまーと言いながら扇風機で涼んでいた。
一応自分は無害な日本人だと判断されたらしい。
おろした荷物と自転車を改めて見ると明らかに色々不足している。
何と言うか…ネ果足で砂漠のフルマラソンに挑むイメージ。
押し入れのダンボールから予備のドリンクホルダーと後方ライト
そして前ライトを取出し、通路に置いたスミー車へとりつけていく。
部屋から出てきて後ろからチョロチョロと作業を見てくる。
自分の自転車がいじられて気になっているのか暇なのか、あるいは両方なのだろう。
暇潰しになりそうな物は無いか考えるがフィンランド語の本もビデオも無い。
という事でセリフの少ないゲームをやらせる事にした。
作業を終えて部屋に戻り冷蔵庫から取り出した
ガラナエールを渡しておいて自分はスミーのゲームを見る。
スミーはゾンビが振り返ったシーンでよくわからない悲鳴を小さくあげ
犬が窓ガラスを突き破ってきたシーンでついにコントローラーを置いた。
スミーは泣きそうだった。
時間的に少し早いが、せっかくなので近所にある回転寿司に連れて行ってみた。
(・∀・三・∀・)明らかにワクワクしてレーンを眺めている。
席に座りTake dishes your self.
('ω' )三( 'ω')
流れる皿を目で追いかけて卵をとって食べてみる
(゜д゜)
ザンギ(唐揚げ)を食べる。
(゜д゜)
中トロを食べる。
( ;∀;)
スミーはワサビにやられた。うまいのに。
(´・ω・`)つ【メニュー】
でも恥ずかしくて頼めないのか、レーン下に貼られたメニュー写真を指差してなんか言って来る。
皿が来ると(´・ω・`)サビぬき?と聞いてくるのでyesと答えておく。
海老を気に入ったようで、流れてきた海老を取って
( ;∀;)またワサビ入りを食べた。嘘つきと言われた。
頼んだ皿のことはわかっても、流れている皿の事はわからない。
でもその後に茶碗蒸し、プリン、ストロベリーパフェを食べて機嫌を直してた。
帰りにコンビニで花火とアイスと飲み物を買い帰宅。
お風呂にお湯を入れ、入浴剤を選んでもらい先に入ってもらう。
その間自分はリビングのテーブルに買ってきたオヤツをセットし、旅の計画を練っていた。
スミーが1日何キロ走れるかはわからないが、目安となる休憩箇所と時間とを地図に書き込む。
ついでにメモ帳とペンを用意した。
お互い英語で何とかコミュニケーションをとれてはいるが、いつ困るかわからない。
文字や絵でカバー出来ればかなりラクになると思ったのだ。
スミーが風呂から上がり、登場。入浴剤の効果だろうか微妙にテンションが高めだった。
地図とメモ帳とペンを渡し、簡単に説明する。
数分後スミーは色々買って来た駄菓子のわさび海苔にやられていた。
自分もお風呂に入らなくてはならないので、テレビをつけ、初代スーパーマリオをセット。
ヽ(=´▽`=)ノこれには嬉しそうなスミー。
風呂から上がると4-1でやられていた。
外が暗くなったのでスミーを駐車場に連れて行き、ローソクに火を灯し花火開始!
最初のうちこそ不安顔をしていたが、小さな花火から慣れていくに従い
色の変化に喜んだり、地面に挿してみたり、両手に持って回ってみたり。元気なことは良いことだ。
隣の部屋の兄ちゃんがそれを見て吹き上げるタイプの花火をいくつか持って来てくれた。
スミーにとっての日本の旅に良い思い出が出来たようで、自分自身少し楽しかった。
花火を終え、スミーと再び部屋に戻る。
自分はコーラ、スミーは果実が描かれた缶のシュワシュワしたやつを飲み
互いにぎこちない英会話をしている。
軽く酔ったスミーは扇風機に向かって(*´∀`*)ア“ア”ア”と遊んでいたりもした。
世界の扇風機界では常識的な遊びなのだろうか。
我に返ったのか少し恥ずかしそうだった。
何故手伝ってくれるの?みたいな事を聞かれれば「自分も知床に行くんだ」みたいな返事をする。
時々通じない事もあるが、一問一答みたいな雑談をしていたら(´・ωゞ)ぬくったーと言い出した。
「sleepy?」
(´・ωゞ)...いえす
眠いらしいのでベッドへ行ってもらい電気を消す。
扉を閉めてリビングの電気を消すと何か言っている。
(`;ω;´)
あ、バイオハザードのせいで怖いのか。仕方がないので扉をあけて寝室と繋いで眠った。
物音で目が覚めるとスミーがトイレから出てきた所だった。
「…Good morning」
(・ω・)ふぉめんた
テレビで天気を確認する。降ってもにわか雨程度かと言う天気だ。
軽く朝食を取り、道具を載せて、スペア用に持ち歩いていたJ-phone携帯を貸す。
自分は当時電波最強のau,男のGショック携帯だ。
スミーにとっては2日目、自分にとっては旅の初日が始まった。
最初はスミーの移動速度の把握。
移動速度が極端に違うと互いに疲れるため、先ずは市内をスミー先導で走って貰った。
結果、自分の中低速ペース位でこちらも疲れにくい速度で行ける事がわかる。
これならどちらが先導しても問題はなさそうだ。
当面は一本道、危険な場所と休憩ポイント以外は
スミーに景色を楽しみたがら走ってもらうように先導をしてもらう事にする。
岩見沢を越えてなおスミーはリズミカルにペダルを漕いで走る。
メットから垂れ下がる髪が左右に揺れて猫の尻尾みたいだなぁ、と思いながらついていく。
時折ドリンクホルダーからボトルを取り出し
飲んでいるところを見ると、やはり装着して正解だった。
スミーはなかなか凄い。正直侮っていた。
平地をロードに乗っているとは言え約4時間スピードを落とす事なく走っている。
男でもこれはなかなか難しい。
このまま走っていても良いが、美唄にあるコンビニで休憩すべくスミーの前に出て
「lest」と伝えると(*`・ω・)OK!!と言って何故か加速を始めた。
クソッ、なかなか速い!携帯を取り出してスミーに預けた携帯を鳴らして自転車を停める。
「Why didn't stop?」
Σ(・ω・;)れーす?
あぁ、レストとレースを聞き間違えたのか。よくあるよくある。訳がない。
お互いに笑ってしまったので先にある自動販売機で飲み物を補充し
何か見たいものは無いか聞いてみた。
(´・ω・`)ここらへんになんかあるの?
「ghost town.」
(`・ω・´)ぜったいいやだ
という訳で小休憩を終えて日本一長い直線道路に挑む。
正直この真っ直ぐな道は楽なようでいて、なかなか終わらないから精神的に辛い。
時間的に昼近かったが、お互いまだ空腹ではなかったこともあり
直線が終わる昼の2時頃に休憩という事を告げて再び走り始める。
北海道とはいえそれなりに暑い。
そんな中スミーは自分のペースではあるがしっかり滝川まで走り続けた。
直線が終わった瞬間ヽ(*´∀`)ノ
自転車を止めてニコニコと嬉しそうなスミーを見て数年前の自分もそうだった事を思い出す。
休憩することを告げ、先導してコンビニ駐車場へ。
(この娘、良く日本語話せないまま日本を自転車で旅しようと思ったな)
焼きそばをフォークで食べる姿を見ながら自分はそんな余計な事を考えていた記憶がある。
再び自分先導で走り始めて神居古潭に着く。
ここからは自動車専用道路と、歩行者自転車道路に分離する為だ。
神居古潭は心霊スポットなどとも言われているが、知らぬが華。
普通に見れば綺麗な景色であり、旭川まで絶景の中をサイクリング出来る。
案の定スミーは楽しそうに景色を見ながら旭川まで走って行った。
>>お互いに何歳の頃なん?
スミーは大学入学1ヶ月前、自分は3年生でした。
国道に合流し、迷わないよう自分が先導に切り替わり、駅近くにあるホテルについた。
チェックインして部屋へ。
かなり汗をかいたと思うので先に風呂に行ってもらい、その間自分はストレッチ。
スミーの後で自分も汗を流す。
快晴とは言えなかったが、日焼け止めを塗り忘れていたので腕が少し痛い。
風呂から上がると(*´∀`*)~♪
冷蔵庫の酒を飲みながら観光パンフレットを見て変な歌を口ずさんでいるスミー。
ご機嫌なのは良いが、冷蔵庫の飲み物は結構高いのでやめて欲しい。
※フィンランドでは18歳から飲酒できると言っていたので気にしていなかったが
 よく考えたら日本では日本の法律でアウトだと気付く
夕飯について考える。コンビニで昼飯を軽く食べた程度だったのでガッツリ食べておきたい。
スミーも腹が減っているらしいので、フロントで近くのラーメン屋を尋ねて向かう。
でも移動中、うまそうな香りを垂れ流していた焼き鳥屋に反応してしまい誘惑に負けてそこにした。
考えてみたら和風テナント、興味深くキョロキョロするのは当たり前だ。
日本語のメニューしかないので自分が焼き鳥をテキトーに注文する。
(´・ω・`)
あ、酒飲みたいんですね。店員に言って最初に飲みやすい日本酒を出してもらう。
(*´ω`*)
あー、いい笑顔だ。それ高いんだけどね。
店員さんに俺の好物を頼む。見た目はグロいが抜群にうまいアレだ。
案の定スミーが食べたそうにしているのでもう一皿出してもらう。
(`;ω;´)
タコわさはお嫌いなようだ。
結局なんだかんだで一万円くらいの出費。半分くらいがスミーの高い日本酒。
(*´∀`*)
そんな良い顔されても…1食には高すぎる出費だ。
暇があったらATMで貯金を少しおろしておこう。
程良く酔ったスミーは珍しくたくさん話しかけてくる。
でもフィンランド語はわからない。簡単な英語か絵にして欲しい。
一人陽気なスミーを連れてホテルに戻った。
部屋に戻り、冷房を強くする。自分は地図を広げて今後の予定と時間を考えていく。
スミーは文字の読めない観光パンフレットを見て(((o(*゜▽゜*)o)))
なんか独り言言ってはしゃいでる。
まぁそのうち寝るだろう、と背中を向けていると背中をトントンされた。
(*'ω'0〔動物園パンフ〕0
凄いいい笑顔だ。明日は観光をしてから、
ちょっとだけ移動して大雪山の途中にあるキャンプ場に宿泊しようと決める。
天気予報を見る為にテレビを点ける。
携帯を充電し、朝シャワーをする為に風呂場でタオルを干していたりすると
有料お試しボタンを押したらしく、あはーんな番組の音が風呂にまで聞こえてきた。
スミーはなんか言ってるが無視しよう。
お試し時間が終わり、静かになったのでバスルームから出ると
スミーはベッドにうつ伏せになり、耳を塞いでいた。
この酔っぱらいを構うと面倒そうなので何も言わずに
フットライトを残して消灯、自分も自分のベッドに横になる。
暫くしてスミーの寝息が聞こえてきた。
自分もなかなか疲れていたのでそのまま眠りに落ちた。二日目が終わった。
朝起きるとスミーはまだ寝ていた。
布団は床に落ち、浴衣がほどけて酷い事になっていた。
布団をかけてあげ、スミーが寝ているうちにシャワーを浴びて
朝の天気予報をチェックししていると(´・ωゞ)ふぉめんた
流石に起きた。ノソノソとバスルームに向かいシャワーを浴び、ノロノロと出て来て再びベッドへ。
あ、これは朝食無理なパターンだな。
とりあえずチェックアウトまで寝てもらい、自分は朝食。
ついでにフロントでイベント等の確認をして部屋に戻る。
予定を変更、空室確認取れたし、今日は旭川観光に一日使おう。
だいぶ回復したスミーを起こし、連泊することを告げる。
何を言っているかわからないが、凄い喜んでいた。
微妙な曇天ではあったが、貴重品以外荷物の無い自転車に跨り、ゆっくり先導する。
途中から国道39号を外れ、目的地に到着する。
旭山動物園到着。
それに気づいた時のスミーは今迄にない最高の笑顔だった。
園内に入ると( 'ω' 三 'ω' )あちこち見ている。
スミーの気の向くままに園内を見て回ると
三( ノ'ω')ノじらふ!!キリン目がけて走って行った。
二日酔いは治ったのか?フィンランドの動物園に居ないのか
或いはキリンが好きなだけなのかわからないが、20分位キリンを見ていた。
そんなスミーが面白かったので持って来た使い捨てカメラで撮影。
昨日のライディングがキツかったのか、
或いは観光地を回れることに喜んだのかはわからないが、まぁ動物園を喜んでいるからいいや。
園を出て近くにある鍾乳洞へ向かう。
途中何人かのチャリダーとすれ違い軽く話をするが、スミーは基本的に猫を被っていて話さない。
微妙に動く程度で殆ど変化しない表情。ちょっと面白い。
鍾乳洞につきHere is a caveと伝えると(`・ω・´)なんか張り切っている。
自分もここは初めて入る鍾乳洞だったので張り切って入り口に向かう。
中は非常に涼しく、そして涼しく、快適に涼しかった。
(`・ω・´)つ|壁|
冒険心をくすぐるようなタイプの鍾乳洞ではないが、
スミー的好奇心を刺激したらしく、あちこちペタペタと触っていた。
小さくて凄いわけではない鍾乳洞だけれど、まぁ来て正解だったのかな。
小雨が時折あったが、だらーりだらりと再び気の向くままに走り、駅前のホテルに戻る。
スミーにDo you want to go Summer festival ?と伝えると
(・∀・)yes!
良い返事。念の為折り畳み傘を持ち、会場付近をフラフラ歩く。
屋台で売っているチョコバナナを買い、焼きそばを買い、たこ焼きを買い…
後ろ姿がギャルなので度々ナンパしてくる男はいたが、
外国人だと気づくと離れていく。離れず話しかける男もいたがスミーが無表情。
諦めて立ち去るナンパ師。
少し離れた河川敷、それ程混んでいない場所に座り、出店の食べ物を食べ始める。
何分かそうしていると、少し離れた所で花火が上がり、空を照らした。
見事に驚き笑顔満開。自分自身も久々の花火を満喫。
特に会話もなく、ボーッと眺める。雨が降ることも無く、いい時間が過ごせた。
嬉しそうな顔のままのスミーと一緒にラーメン屋に向かう。
味は普通だったが、スミーは小さなレンゲに一生懸命麺を載せて食べていた。
あと猫舌なのか凄いフーフーしていた。
部屋に戻り、冷房を入れる。スミーに風呂を譲り、自分は明日以降の予定を立て直す。
結構シビアだった。大雪山の景色を見てもらいたいが
ゆっくりし過ぎるとキャンプ場もなく大幅に計画が狂ってしまう。
スミーの登坂速度もまだわからない。
50km,120kmの割り振りで2日を使うべきか、北見までの170km近く一気に行くべきだろうか。
そんな事を考えていたらスミーがバスルームから顔を出してこっちを見ていた。
|ω• `)…
「What's happen?」
|彡サッ
そして気づいた。部屋に戻って直ぐ風呂に直行したから着替えを取り出してなかった。
バスルームの扉越しに「I go to front.I have a room key.OK?」と伝えて下の自販機へ向かう。
10分ほどして部屋に戻ると着替えたスミーはベッドで日記みたいのを書いていた。
自分も風呂に入り、スミーに声をかけて3日分の着替えを持ち
ランドリーで洗濯、乾燥して部屋に戻る。
明日は早く起き、急いで北見に向かわなくてはならない。
ベッドに入り、フットライトだけをつけて就寝。多分スミーより早く寝付いた。三日目終了
朝5時起床、眠そうなスミーにはすまないが、この時間なら170km行けそうだ。
素早くシャワーを済ませて6時にチェックアウトをする。
スミーがホテル代支払うと言ってきた。
素泊りとは言え、2日2人で約20000円を払ってもらうのは申し訳ないが
ここまで費用が俺負担だったからと譲らない。
外に出て、今日はヘビーでロングになると真面目に予定を伝える。
それが伝わったのか真顔で頷いた。
おそらくMTBの自分よりもロードに乗っているスミーの方が速いだろうが
極力重めの荷物を自分が預かり、軽量な物を頼む。
普段靴で乗れるビンディングペダルではあったのでスニーカーで漕いできたが
今日だけは流石にビンディング対応のサンダルに履き替えて挑む。
そしてスタート、道中最大の難所に挑んだ。上川までを自分が先導。会話も無くひたすら走る。
少しずつ登坂し始めるが、大きくペースを落とさずに
何とか10時前に上川駅近くに辿り着いた。ここまでは予定通り。
問題は上川から北見まで約120km,距離自体は問題ない。
問題なのは標高1000mをこえる石北峠だ。
最悪の場合を考え、上りの平均速度は7km/h
下りの平均速度はスミー次第だから計算は微妙で…
途中留辺蕊(るべしべ)から北見までを平均15km/hとして…考えるのも面倒くさい。
もう上り下りの平均速度15kmで計算で全部15km/h計算でいい。
これならだいたい10時間!夕方にはつくんじゃないか!?
先導をスミーに切り替え、ギアを落としてひたすら付いていく。
自分一人だと休みがちになってしまうが、
パートナーが居ると意地でもついていくしかない為、自然と気合が入る。
だが、徐々にスミーのペースが落ち始める。勿論自分の疲労もなかなか大きい。
途中何度もライダーからピースサインや声援を貰いながら踏ん張り続け
標高の中間目安である銀河の滝を眺めながら一休み。流石に重量積載はキツい。
滝を眺めながら特に会話もなく10分ほど休憩をし
ストレッチをして再びアタックを始める。暑くはないが汗が止まらない。
水の消費は激しく、各自の残りは半分程になっていた。
呼吸音と地面の音、風の音を感じながら走り続けるていると大雪山のダムが見えた。
残り標高は200mも無い。スミーのペースが更に落ち始めたので声をかける。
「スミー、Are you fine?」
返事が無い。スミーを止めて休憩を挟む。
今何処にいて、あとどれだけ走ればいいのかわからないと言う精神的負担は体力の消耗が激しくなる。
地図を広げ、カ□リーメイトを食べながら現在地と頂上を指し示すが反応がイマイチ。
「スミー、Why did you watch せくしーむーびー?」
あ、いい顔だ。でも足をパシパシ叩かないで下さい。ちょっと痛いです。
「Let's go.Here is near the top. 」
自分を先導にして石北峠の頂上を目指す。
スミーも会話で少し元気が出たのかしっかり後をついてくる。
その甲斐あって3時過ぎに頂上の休憩所と言うか簡易ドライブイン的な場所に辿り着いた。
北見方面に広がる景色を見てスミーが微妙にはしゃいでいる。自分も思わずガッツポーズ。
残り区間、4時間もあれば北見でゆっくり出来るはず。
小休憩をしてスミーを先に下る事にする。スミーの下りは上手く、そして速かった。
決して路面状況が良いわけでもないが、確実に危なげなく的確に曲がって行く。
自分もその後ろを安心して付いていく。
重量積載をしていたが、シマノ製の油圧ディスクをつけてあた事もあり安心して下る事が出来た。
留辺蕊に入り、2人縦列に20km/hペースに速度を下げながらも好調に走る。
北見にある無料キャンプ場に入る頃でも夕日に余裕があった。
余裕はあったんだ…。でもシャワーが無かったんだ…。
と言う訳で黒いゴミ袋に水を10Lくらい汲んで、外に放置。
その間にスミーの2~3人用テントの設営をして、次いで自分用一人テントを組み上げる。
明るい内に明日の予定確認をして、小型鍋と固形燃料でインスタント食品を食べる。
さてシャワーを浴びることにしよう。
固形燃料の火で10得ナイフみたいな工具にある
コンパスの針のような奴を加熱し、2リットルボトルの下に穴を幾つかあける。
あけたら外からティッシュを挟みガッチリとガムテで固定。これを2個作る。
それに黒いゴミ袋から温くなった水を入れて一人用のテント内に吊るす。
まぁ汗を流すだけなら充分。
スミーが出た後、もう一度お湯入れをして自分も頭と身体を軽く流す。
シーブリーズを塗り、これでかなりマシになっただろう。
テントを斜めにしてドバーッと放水して、残りの水で中を洗い再度放水。
拭いて乾かせば寝られる。と言うか寝たい。
ゴシゴシとテントの水分を拭き取り、風を通して乾かしているとスミーが
(・ω・)いん まい てんと と言ってくれたので、素直に言葉に甘える事にした。
スミーのテントの隅に銀マットを敷いてナップザックを置き
それを枕に大き目のバスタオルをかけて横になる。
テントの向こうから色々な虫の声と、他のテントの会話みたいなものが聞こえてくる。
スミーはよくわからないがニコニコしている。
そういえば旅を初めて初のテント設営だ。
真新しいテントを見る限り、初めてのキャンプなのかもしれない。
ゴ□リゴ□リと寝返りをしたり、起き上がって外を見てみたり。
なんとなく昔の自分もそうだった事を思い出した。
(((・ω・)っ背中をツンツンして来る。
遊びたいのはわかるが、寝ないと明日が辛いので寝た振りをする事に。
…くぅーっと腹の鳴った音が聞こえて笑ってしまった。
バックからカ□リーメイトを取り出し、渡す。
「I'm verrrry tired.I have to sleep today」
(*´ч`*)←めっちゃ食べてる。多分ちゃんと聞いてない。
うん、さっさと寝よう。そう思い、初日に聞いた眠いを意味する「ぬくったー」と言って寝た。
スミーも「ぬくったー」
4日目終了。
5日目朝、疲れが酷かったが目覚める。
スミーにタオルを奪われていて凄まじく寒かった。微妙な曇り空。外を見るとなかなか寒い。
他のテントは寒さに負けて起きたのか、かなりの数が撤収していた。
スミーも起床。ボサボサの髪ではあるが、
メットをかぶればわからないしスミーは髪を纏めているので問題なさそうだ。
テントを回収し、今日の予定を伝える。
「We go to spa,after that,go to 網走 lake side.About 50km.」
温泉と聞いていい笑顔を見せる。
まぁ温泉行きたいと言っていたくらいだから嬉しいのだろう。かなり無茶したし。
国道39号へとルートを戻し、北見市街を走り、市外にある温泉迄先導する。
信号待ち等で横に並ぶたびになかなか良い表情を見せてくれた。
温泉到着。ふと気になったので聞いてみる。
「Body in tatoo?」
ふる(・ω・`三´・ω・)ふる
「Have you ever been to Japan's spa?」
(`・ω・´)Yes
じゃあ大丈夫か、という事で風呂道具を出して入湯する事にした。
一応小樽で外国人が入浴拒否された問題を考えて受付に
「彼女日本語話せませんが、刺青的な物は無いですし、日本の温泉経験者です」と伝えておく。
特に何も問題なく温泉に入れた。
一時間経っても出て来ない。
少し恥ずかしいが、出てきた女性に聞いてみると
露天風呂とサウナを超満喫しているらしいことがわかった。結局2時間入っていた。
取り敢えず風呂には欠かせない牛乳を飲み、再びゆるゆる走り始める。
途中のホームセンターで小さな七輪と炭、網と発泡スチロール製の容器を買う。
採暖も料理も出来る最高のグッズだ。
ちょっと走って女満別空港のあたりをグルグル走り、コンビニで昼食。
見つけたスーパーで野菜と肉などをテキトーに買い、粉ポカリや2リットル飲料を購入。
スミーはお酒を選んでいた。
買った肉は発泡スチロール製容器に氷と一緒に入れ、網走湖畔の無料キャンプ場へ向かう。
時間が早かったこともあり、まだ混んでおらず
炊事場にそれ程遠くない湖畔にスミーのテントを張った。
次いで自分のテントを張ろうとするが、スミーが自分のテントを指差す。
なんかもう面倒なので今日もお邪魔することにした。
テントの前で七輪に炭を入れ、少しずつ炭を足して火力を増やしていく。
スミーが落ちていた木の枝を燃やす。煙が酷い。
煙が落ち着いたので網を置き、豚肉の脂身をこするようにして
網に馴染ませて張り付きにくいようにする。
固形燃料の方ではお湯を沸かし、コンソメを溶かしベーコンとキャベツを投下。軽く煮込む。
準備は出来た。肉と野菜を載せて次々に焼く。
スープは白い発泡スチロール製のお椀に入れる。
おにぎりを食べる。時々おにぎりも焼く。黄金のタレ最高!
一通り食べて、最後に焼き鳥を載せて弱火で焼く。
スミーはカクテルみたいなやつをチビチビと楽しそうに飲んで焼いていた。
メイン食が終わったのでアルミで包んだじゃがいもを載せ
鍋を洗ったり、ゴミを分別して潰したりして処分。
スミーはテントの中で日記みたいのを書いていた。読めないけど。
何となくテントの外で芋をコロコロと返していると
スミーも外に出てきて芋コロコロをやりたいと手を伸ばしてくる。
遠くの方でライダー達が盛り上がっていたが、
個人的には風に煽られ小さな波を作る湖水を見ている方が気分に合っていた。
知床満喫するには出来ればウトロまで行きたい…
しかし、この辺りは宿の数に対して宿泊希望者が多く
予約が埋まっている可能性は高い。値段も安くないし。
途中にあるライダーハウスは一箇所知っているが、女性専用部屋になってしまう。
人見知りっぽいスミーは大丈夫だろうか。
しかしウトロ近辺にテントを張るのはヒグマが出現した場合を考えると避けたい。
地図を広げて、ノートに略図と距離を書いて3つの案を説明する。
多分旅の中で1番頭を使っている姿を見ることが出来た。なかなか決まらない。
仕方が無いのでチャリダーとして1番恥ずかしい最後の選択肢をそれとなく提案。レンタカーである。
明らかに反応が変わる。自転車で向かえば1~2ヶ所しか観光が出来ないが
車であれば安全な上、地図にマークした多くの温泉と観光名所が楽しめる。
逆の立場で考えれば、海外旅行で名所を1日一ヶ所しか見られないのと
複数見られるのでは後者を選ぶようなもの。
超ニコニコ、ワクワクしている顔だ。想定していなかったんだろうな。
車であれば色々行動の幅が広がる。
ノートに距離、必要時間等を書き込んで行き、観光したい所を聞いていく。
(・∀・)おーる
「All ?」
1日で全部は不可能だと伝える。2日であればある程度は見られると伝える。
車中泊入れて48時間レンタルか。ここ迄来たら最後までとことん楽しんでもらう事にした。
眠いらしいのでライトを消す。スミーはすぐ寝息をたて始めた。
スミーは一日でかなり長距離を移動出来るが、疲労回復が早くはないようだ。
自分も横になる。なかなか寝付けないので水辺に行ってみたり
余熱でお湯を沸かして粉ポカリを溶かして飲んだり。
数時間ボーッとしたあとテントに戻り、バスタオルをかけて自分も寝る。
5日目が終わった。
6日目起床。人の足を枕にして寝ていたスミーを起こす。
七輪の余熱で作っておいた芋に塩を振って食べ、テントを畳む。
歯を磨いていると女性ライダーに話しかけられた。
外国人と日本人の組み合わせは珍しいから声を掛けてみたと。
同じく歯を磨いているスミーは徐々に離れていく。
ライダーを怪しい人だと思ったのか、或いは単に人見知りなのかはわからない。
こんな性格で良く旅をする気になったな。
女性ライダーさんは連泊するらしく、
バーベキューしたいなーと言っていたので七輪と余った炭などを引き取ってもらった。
あとカムイワッカの車両規制情報を貰う。
自転車に荷物を載せ、ライダーに別れを告げて出発。
そのまま網走駅近くにあるホテルに寄り、明日の空室を確認し、そのまま朝食だけのプランで予約。
2日ほど自転車を置かせてもらえる事になった。
宿の手配が済んだので、開店したてのレンタカー屋に行く。
一番安い軽自動車に空きがあると言われたのでその場で手続き。48時間で借りる。
退屈なのか少しご機嫌斜めだったが、車の傷点検を終えて車に乗ると
(・∀・)こんな顔。ワクワクしているのがわかる。今日は知床巡りだ。
で、気づいた。
「Do you have a swimwear?」
野湯無理じゃん…先ずは水着買いか。
水着を買いに何件か見て回るが、品数が少ない。
結局何故かスポーツ用を買っていた。高いのか安いのかわからないが。
そのまま出費。小清水原生花園を覗き、斜里を通り、ウトロへ。
オロンコ岩を眺めながらお昼のコンビニ飯を食べる。
スミーはカレーを美味しそうに食べていた。
ふと自分の弁当にあるカツを2切れほどスミーのカレーに入れてみた。
カツカレーの美味さを知ったらしく、良い反応だった。
目的地であるカムイワッカへはバスでしか行けなくなっている為
知床五湖は後で見る事にしてバスに乗り込む。
ゴトゴトと悪路をバスが進む。そんな中でスミーは窓の外の景色を見ていた。
自分も外の景色を見ていた。
近くの50代と思われる女性から漂う香水で吐き気が止まらなかっただけである。
何故妙齢の方がつける香水は臭いのだろうか。
40分ほど乗った地獄のバスから降り、ちょっと歩いて川そばの脱衣場へ向かう。
水着にシャツを着て、草鞋(わらじ)をレンタルして川へ向かう。
沢登りは危ないので持って来たメットを被り、川の中を歩く。
沢登りを暫くしていると、先程の香水女性は
見事に足を滑らせて川の深みに腰から落ちるのが見えた。
その際に肩を引っ張られた人も落ちた。
「This is non slip safety shoes.」
目の前の惨事を見てスミーも納得したようだ。草履は滑り難い。
極力安全そうなルートを選択し、時折スミーを引き上げたりしながら
上へ進むと既に入湯者がいる滝壺が見えてくる。
だがその横を通り、熱々の湧き出るお湯を越えたりしながら更に上へ。
更に凄い滝壺の温泉がそこにはあるからだ。
登り切ると上の滝壺には幸い誰もいない。
上着をバッグと一緒に近くに置き、
下の人の迷惑にならないようお湯を汲んで隅に行き局部を洗い流す。
どっぼん
振り返るとスミーが上着を脱いで入って泳いでいた。というか泳がないと沈む深さなんだけど。
自分も滝壺に腰掛け、ゆっくり入る。スミーが舌を出して何かを言って来る。
多分超酸っぱいんですけど!的な事だろう。実際ここは金属が直ぐ変色する程に強力な酸性温泉だ。
暫くぷかぷか浮かんでいるとスミーがお湯をかけてきた。
凄く良い笑顔をしていたと思う。目に入ってムスカみたいになってわからないが。
ヨタヨタとバックに行き、ボトルの水で目を洗う。少しずつ回復。
泳ぐスミーの写真を何枚か撮って再び足だけ浸かる。
スミーは滝壺の縁に肘を置き、バタ足みたいな事をしていた。
スポーツ水着の背中は大きく開いていて綺麗な背中が見えた。
満足したのか、身体をタオルで拭き、シャツを上に着て来た道を戻る。
正直下りは登りの数段危ないため、段差が大きいところは下から支え、ゆっくり降りてもらう。
チーム香水50代は石に座りながら何か話していた。
上に何があるの?と聞かれたので、深い滝壺があるけれど危ない事を伝える。
出発地点に戻り、草履を返却して更衣室で着替えてバスを待つ。
チーム香水50代は上を目指したのかその後会うことはなかった。
車に戻って来たのは5時近く、知床五湖に再び向かうのは
時間的に観光不可なのでオープンしたてである川湯温泉の足湯へ向かう。
7時前に着き、硫黄泉の香りを満喫しながら足元パチャパチャしていた。
たまーに軽く足をぶつけてくる。
足をひょいと掴んで足の裏をくすぐってみたら肩を叩かれた。不条理だ。
足を拭き、おにぎりを食べながら砂湯温泉へと向かう。
車を停め、折り畳みスコップ(野糞や食べ残しを埋める用)を取り出して砂を掘る。お湯が出て来た。
シャベルを奪われたので手で掘る。凄く熱い。
結局大きく掘ることは難しく、足湯をすることも無いまま埋めた。
そして近くにある和琴温泉へと向かう。
車を停め、他に人がいない事を確認して簡易的な脱衣場へ。
懐中電灯を片手に池みたいな温泉に入る。
スミーは最初足を入れているだけだったが、結局水着に着替えて入って来た。
半身浴みたいな状態でのんびり。
明日が知床旅の折り返しになる日だな等と思っていると、林というか藪がガサガサと音を立てる。
何かが移動している音だが、狐位のサイズっぽいのでそのまま入っていようと思ったが
スミーが怖がっていたので上がることにした。
車に戻り、北海道に来たら行っておきたい場所の一つである中標津へ向かう。
ナビが無かったこと、標識がなかなか見つからなかった事もあり
結局11時頃に公園の駐車場に車を停め、シートを倒して車中泊。
スミーも同じ様にして横になる。
時折通過する車の音が聞こえる以外はシーンと静まる車内。
窓から見える空を眺めながら色々と考えていたが、考えるのをやめた。
静かな夜だった。6日目終了。
七日目の朝が始まる。
薄明るくなってきて目覚める。若干髪がモサモサしているが急いで車を開陽台へと向かわせる。
今日は意外にスパッと目覚めたスミーだが、
車を降りて歩き出す自分の隣を歩いているうちにここに来た目的に気付いたらしい。
自分達以外にもカップルライダーが来た。北海道の海沿いを一周する予定らしい。
今日は昔付き合うきっかけになったここに寄り道して、また海沿いを走るそうだ。
快晴とは言えなかったが、地平線からの日の出を見ることが出来た。
百聞は一見に如かず。地球の丸さを実感出来る事は中々無く、ちょっとした感動もある。
スミーの髪の毛が太陽で綺麗な色を見せる。
ボーッと眺めていると隣でカップルライダーがプロポーズしていて驚いた。
七日目の朝は驚きの中で始まった!凄いぞ試される大地!
カップルにおめでとうございます!と伝えて祝福。
スミーに説明すると感動して泣きながら何か言ってた。
フィンランド語がわからないから訳せなかったけど、カップルは嬉しそうだった。
帰りにうちに遊びに来てください、と告げ連絡先を教える。
カップルライダーは手を振りながら去っていった。
駐車場に戻り、今日の予定を確認。
ノートの略図を見ながら温泉巡りと湖巡りと食べ物巡り
どれが良いか尋ねると温泉と食べ物で悩んでから温泉と答えた。
悩む位なら少し無理してでも両方行く事にした。
ルートを地図で確認し、釧路の市場へと向かう。
そこには米の入った丼に、市場にある好きなものを載せて食べるという夢の様な丼があると言う。
カップルライダーから聞いていた場所だ。
市場が開いて直ぐに到着。白米の入った丼を持ち、
お金を払いながら具材を載せて丼を完成させて行く。
スミーも最初は真似して同じ物を載せていたが、最終的にカニと海老まみれの丼を完成させていた。
これ凄いうまい。本当にうまい。スミーも箸を不器用ながらも一生懸命つかいながら食べていた。
自分も味わって食べているつもりでいたが、あっという間に無くなった。
今日泊まる予約をした網走の宿へ連絡、無理を承知で朝食のみプランから
2食プランに変更出来るか尋ねてみると快く受けて下さった。
ついでにカニとエビを多めに出来るかも聞いてみたら、追加料金で対応して貰える事に。
スミーはまだ丼を幸せそうに食べていた。
せっかくの釧路なので湿原の観光を提案してみたが、
やはり温泉が良いと言うので来た道を戻り養老牛温泉へと向かう。
ここに温泉大好き人間である自分イチオシの温泉宿がある。
というかmy best spa と書いていたのが気になったらしい。
ちょっと高そうな外観の宿につき、入湯料を払ってタオルを貰う。
内湯は勿論、直ぐ前を川が流れる絶景露天風呂が複数あり
有無を言わさず旅好き温泉好きを納得させてしまう。
頭と身体を綺麗に洗い、内湯と露天風呂を行き来して一時間ほど楽しむ。
着替えてフロント近くのソファーでうたた寝したり新聞を読んだり。
スミーも満喫したのかホカホカしながら出て来た。
北海道の旅は行けば行くほど見たい場所が増えますよね。
徒歩ダー、チャリダー、ライダーを一度経験すれば大半の人はまた走りたくなります。
昼ではあるが、スミーもまだお腹いっぱいとの事なので
時間をうまく調整しながら移動、霧のない摩周湖を見られた。
一年の大半が見られなくて、見ると結婚が遅れると伝えると言われてるよと教えてあげる。
肩を叩かれる。結構嫌な顔をしていたのでジョークと言って誤魔化す。
ちょっと機嫌が悪かったが、美幌峠で景色を眺めたりしているうちにマシになった。
あとは網走に戻るだけ。宿に荷物を一旦降ろし、チェックイン。
車を返却して部屋へ。今回は和室をチョイスしてみた。
ゆっくり休みたいところではあるが、荷物の整理を始める。
旅の行き帰りで最も違うのは旅先から曜日時間指定で
使用頻度の低い荷物を送り、身軽に馴れることだ。
コインランドリーで衣類を洗い、自転車のチェックを行い必要最低限の荷物に切り替える。
バッグ2つ分をダンボールに入れ、日付指定でアパートにつくようにした。
部屋のお茶を飲みつつ帰りの計画をノートを出して話す。
1日目、網走~留辺蕊
2日目、留辺蕊~旭川
3日目、旭川~我が家
4日目、天候等の走行調整予備日
5日目、我が家で荷物を受け取る。
…その先の予定は無い。
スミーとの会話は元々少な目だが、居心地が悪いわけではない。
でも今の沈黙はお互い気まずい沈黙。卒業式前日の様な感じだ。お茶を飲む。酷く喉が渇く。
暫くして真面目に、しかし軽く笑みを含んでスミーがお礼を言った。
「Take it easy.By the way,why did you watch セクシームービー in 旭川?」
笑いながらペシペシと叩いてくる。コレでいい、旅は楽しくないと勿体無い。
夕食、カニと海老が異常なまでにあった。
スミーが無茶苦茶いい笑顔をしている。そして勢い良く食べ始めた。
この娘は箸にはなれていないけれど、とても丁寧な食事をする。
良い家庭に育ったんだろうな。抜けているところはあるけれど。
カニのハサミの肉を勧めてくる。確かに美味いよね。
また日本酒飲んでる。この娘は、食べる事の楽しみを良く知っている。
お腹いっぱい食べてからゴロゴロタイム。
人の布団を巻き込んで転がってみたり、布団に入ってみたり。まるで子供みたいだ。
疲れたのか窓辺にある椅子に座り、二人で外の景色を見たり
地図を見ながら思い出話。そして二人揃ってそのまま少し寝ていた。
布団を敷き直し、起こして布団に行ってもらおうとする。
でも起きようとしない。仕方が無いので抱っこして布団に運ぶ。
電気を消して自分も布団に入る。
自分も「ぬくったー」だったので再び寝るまで時間はかからなかった。
7日目の夜が終わった。
8日目の朝が始まる。スミーは人の腹を枕代わりにしていた。
ひたいを軽くペチッとすると笑い出した。今日は自分が遅起きだった。ちょっと悔しい。
朝食を食べ、チェックアウト。従業員の人に心からのお礼を言って肌寒い中を出発した。
キャンプ予定地までの距離は100km。
僅かな傾斜はあるが大きな難所も無く、夕方前にはテントを張れる計算だ。
数日前に泊まった網走湖畔のキャンプ場を過ぎ、入浴した温泉を過ぎ
北見市街地を通り、そして北見を抜ける。とても良いペース。
途中長めに休んだり買い物したが、自転車が軽かった事もあり
8時間後の5時にはテントを設営出来た。
キャンプ場では無いのかもしれないけど、温泉が近いからか時々テントを見かける。
自分達のテントを見たからか、或いは元々予定していたのかはわからないが
同じ様にしてテントが設営されだす。中には家族連れもいた。
スミーは大量に買い込んだ蒲焼さん太郎を齧りつつ酒を飲んでいた。
自分はこの旅最後になるであろう夕食を作り始める。
1.固形燃料を使い鍋でお湯を沸かす。
2.お湯が沸いたらマカロニを投下。
3.茹でたら茹で汁を別な鍋に入れ、それにレトルトのスパゲティソースをいれて温める。
本当ならスパゲティを食べたいが、深底鍋なんて持ち歩けない。
消化しやすく持ち運びやすいマカロニはチャリダーに優しい。
ソースをかける前にカニカマをほぐして載せ、取り出した和風きのこソースをかけて完成。
茹でた鍋には卵を4個いれて更にゆで卵を作る。水と燃料の節約は大事。
気に入ってくれたようだ。自分も食べ始める。
当たり前だが超うまい。うまいんだけど、食べながら気づいた。スミーが一度も料理していない。
日本語話せない、自転車直せない、料理が出来ない
本当にどうやって旅する気だったんだろう。
明日は旭川のホテルだし、更に翌日には家に付くため、荷物は実質日帰り旅行で済む。
万が一を考えつつも極力不要な物をまとめていく。
自分は衣類バッグ、一人用テントと銀マット、水3L、最低限の旅セット
スミーは衣類バッグ、貴重品バック、水1L
あとは明日朝撤収時にコンビニから日付指定で送ればいい。
眠くはないが、無理にでも眠らないと峠越えはツラくなる。横になり目を閉じる。
スミーが何か言っている「くーまー」飲んでいて身体が熱くなったのだろう。笑った。
目を閉じる。車の往来音が少々騒がしいが、良く眠れた。残りはあと2日
9日目起床。
カ□リーメイトとポカリで体に活を入れる。
テントを畳み、コンビニでダンボールを貰い、不要物を詰めて日付指定でアパートへ送る。
石北峠アタック開始。頂上から東(北見側)は道が広いとは言えず
見通しも今ひとつなのでリア点滅ライトを点け、一定のリズムで漕ぐ。
時速10km前後を行ったり来たりするが、それ程悪い感じではない。
意外にも休憩を取ることなく1時前に頂上についた。
ここからはずっと下り、安全な速度を維持して下って行っても5時にはホテルに着く計算だ。
緑の中を風を浴びながら降り続ける。スミーの綺麗な髪がパタパタしている。
念には念をいれて速度調整するが、直ぐメーターが30km/hを示す。
一人旅なら更にガンガン速度を上げるが、今は安全第一の二人旅、路面状況を確実に判断しながら進む。
上川を過ぎ、市内に入り、ゆっくり走る。それでも予定より早くホテルについてしまう。
ゴールまで100km少々。快晴って日は少なかったが
ぱらつき程度の雨が少しあった程度で最高のコンディションのまま終わりを迎えられそうだった。
スミーと一緒にホテルを出てプラプラ歩く。特に何かするわけではないけど、なんとなく気楽だ。
焼き鳥屋に入る。店員さんが覚えていてくれたので、スミーが喜んで飲んでいた日本酒を頼む。
自分はタコワサ、ウーロン茶
串焼きを食べるスミーは本当に楽しそうだ。自分も楽しく食べることが出来る。
軽く頬を赤くして酔っているスミーと歩いて帰る。
よくわからない歌を口ずさんでいるあたり、かなりご機嫌な模様。
ホテルに戻り、スミーが入浴中自分はストレッチ。スミーの後に自分も入浴。
テレビのチャンネルを変えている音が聞こえる。
で、また例のチャンネルになってしまったらしく、なんか言っていた。
風呂をあがると無表情のまま膝を抱えて座っているスミー。
パニックなのか、気まずいのか、またネタにされるのが嫌で知らんぷりしているのか。
静かな夜だった。
10日目の朝が始まる。チェックアウト。
補給が容易になるので水を1Lずつにする。
景色を眺めながら神居古潭を通り、滝川から美唄へ繋がる長い直線の途中で軽く休息をして。
美唄から岩見沢と順調に来ていたのだが、
先導するスミーのペースが明らかにおかしくなりだしてついに一桁まで落ちた。
「what's happen ?tired?」
自転車を止める。
( ´・ω・`)でぃす とらべる うぃる ふぃにぃっしゅすーん。
少し休むことにした。Sappro○kmの文字で本当に我が家が近い事に気が付いたようだ。
このまま家まで先導するべきか悩んだが、無理せず予備日
(本当は悪天候時等に休む、本音は家で眠りたい日)を使うことを決めた。
キャンプ場に連絡し、コンビニで食べ物を買って向かう。
皆から少し離れた場所に一人用テントを建て、
外が暗くなるまでどうでも良いことを話したりノートが無くなるまで絵を書いたり。
数時間の間に今までの間と同じ位の量を話した気がする。
シャワーから戻ってきて、夕飯を食べながらまた話をし、狭いテントの中に寝転んで話をする。
その後も僅かにバッグに入れていたおやつを食べながら
将来やりたい事の話、アパートに戻ったら一度フィンランド料理作ってくれなどと言っていると泣き出した。
駄菓子のわさび海苔を勢いよく食べたからだ。
何故このタイミングで?と言う表情だなこれは。
距離が近いからちょっと痛い。笑った。スミーも笑った。
明日は泣いても笑っても旅の最終日。目一杯走る事にする。
狭いテントの中、疲れもないけれど眠った。
甘い香水の香りとシーブリーズの香りが混ざった中で。
11日目起床。
人の腕を枕に眠るスミー。腕枕ではなく肩のあたりに頭がある感じ。暑いのでどいてもらう。
アパートの隣部屋のにーちゃんに電話して今日帰ることを伝えておく。
テントを畳み、カ□リーメイトとポカリを腹に入れて、本当のラストランが始まった。
昨日とは違って超近距離。トラブルも無く休憩することも無く景色を眺めながら走るだけ
ゆっくり走ったけれど昼過ぎに到着。アパートの前でメットを脱ぐ。ハイタッチ!
隣の部屋の兄ちゃんが出てきて写真を撮ってくれた。
これでスミーとの道東旅行は全て終わった。
スミーに改めて旅の終わりを告げる。
「This travel is finished.」
(´・ω・`)さんくす
「But,my travel isn't finished yet.Shall we go?」
スミーに着いていく旅は終わった。今度は俺のサイクリングに来てもらう番だ。
と言うわけで道東ツアーは終わりました。
隣兄へお礼を言って、まずは写真屋にカメラの現像を頼む。
そのままスミーと出会った新札幌へ向かい、そこから自転車専用道路をゆっくり進み、札幌市内観光へ。
大通り公園でとうもろこしを食べてからゆるゆると戻り
出来た写真を受け取りアパートに戻ると、
駐車場の隅で隣兄と隣姉がブロックを組んでジンギスカンの準備をしていた。
多分駐車場でやっちゃダメだけど、お盆前だからうちら以外他に人いないし今日くらいは良いだろう。
そんな準備をしてくれていた姿を見たからか、
スミーもあまり人見知りすることは無く仲良くジンギスカンパーティーが出来た。
特に隣の姉ちゃんは結構英語を話せるみたいで、女性同士という事もあり色々話をしていた。
自分も隣兄に旅の話を色々として盛り上がったりしていた。
その話の流れで明日来る荷物の受け取りを隣のにーちゃんがしてくれる事になり
追加で一日遊べる日が増えたのは有り難い。
【解説】
103(隣のねーちゃん)
105(俺)
106(隣のにーちゃん)
これの番号と表札をちょっとアレして
103(隣のねーちゃん)
104(無記名)
105(俺の札)←隣兄
とすれば荷物は隣兄が代理受け取り出来てしまう。過去に色々あって編み出した手法だ。
ちなみに隣のねーちゃんと、隣のにーちゃんは冬の雪片付け仲間であり
それがきっかけで付き合い出したカップルである。
ジンギスカンが終わり、残った炭を囲みながら自分も普段飲まないビールを1本だけ飲む。
味は美味しいとは思わない、けれどノドを通るそれは他のどんなものよりも美味しかった。
後片付けをして、部屋に戻って風呂に入ってもらう。
洗い物をしていると隣の姉がピンポンしてきて
「これ、スミーに渡しといて。話はしてあるから」と、袋を渡してきた。
風呂を上がってきたスミーに渡すと、服を借りる話をしたとの事。
隣姉にお礼を言いに行くと「いや、あんたに貸したわけじゃないから別にお礼はいいよー」と。
それもそうだなと思い、俺も部屋に戻って風呂に入る。
風呂からあがるとスミーはマリオをやっていたが、無限アップに失敗して止めた。
聞いてみると今日は凄く楽しかったらしい。
流石に夜遅いので寝室に行って眠るように言う。
ベッドの布団をリビングに持って来て敷き始め出す。
もう少しだけ話をするか。と思ったらすぐに寝た。
そんなこんなで11日目が終わった。
隣姉がピンポンを鳴らしてきて起床。玄関を開けるとスミーを指名。
スミーが服を持って隣姉とどっか行っている間にシャワーを浴びて
今日は小樽に行こうか等と考えていた。
朝食を作って待っているとスミーが戻って来た。髪を整え、かなりお洒落しての登場である。
「very beautiful」
嬉しそうだ。
今日の予定は小樽ぶらぶら散策。まだ混んでないJRに乗り
一旦大学の生協に寄って学割レンタカーを借りる。
軽でも1日3500円程度、自宅配送回収ありと言うサービスは有り難い。車を受け取って小樽へ向かう。
景色を眺めながら走ると小樽は結構近い。
運河沿いを走り、海の方へ行ってみたり、ガラス館を覗いて買物したり。
特に何かをするわけではないけれど人力車には乗った。
最初は緊張していたけれど凄く楽しそうだった。
人力車を下り、徒歩でラーメン屋が入っている建物へ行き
それなりに有名なラーメン屋の味噌ラーメンを頼む。
借りた服が汚れないように上着を貸してから熱々のラーメンを食べ始める。
スミーはレンゲに載せて、フーフーしながら食べていた。
車に戻り、ちょっと移動して海へ。
夕日が沈む様子を二人で眺めて、最後に小樽サティの観覧車へ。
今迄の旅と違って今日は自然的な要素は無いけど、
こんな日本の楽しみ方があっても良いんじゃないかなと思った。
スーパーで食材など色々買ってアパートに帰ると隣の兄から旅の荷物を受け取った。
片付けるのは後にして風呂に入る。
スミーがイタズラで人の布団に潜り込んでいたので自分がお客用布団に入る。
つまんなーい、みたいな顔していたが電気を消すと静かになった。
12日目が静かに終わろうとしていた。目を閉じる。
トイレに行こうとしたスミーが俺を踏んでコケる。
俺も腹部を踏まれて苦しむ。やはり静かな夜ではなかった。
13日目朝。
スミーは先に起きていたが右足を痛そうにしていた。
昨夜俺を踏んで痛めたみたいだ。足を見るが腫れはない。
湿布を貼り、テーピングで固定。これでマシになったみたい。
今日は片付ける日、昨日郵送されてきたダンボールから荷物を取り出し
処分するもの、また使う物などを振り分ける。スミーはスミーでお片付け。
レンタカーを返却したり、旅の記録をまとめたり
隣姉が貸してくれた服をクリーニング店にだしたりしているうちに時間が過ぎていく。
スミーの荷物まとめも終わり、ゴミなどをごみステーションに運んでスッキリ。
やることが無くなり、今日は何をするのかと聞いてくるが、
スミーの足を考えると外出は控えたい。
結局スミーのマリオを見たり、昼ご飯を作ったりしていた。
ケチャップでムーミンを描いたつもりが化物にしか見えないオムライスを
スミー、上手に描かれたニョロニョロのオムライスは自分の方におくと
うわぁ、みたいな顔をしていた。
ポテトサラダを取りに台所へ行き戻ってくると化物にオムライスが自分のものと交換されていた。
(・∀・)いただきます
スミーは旅の間、簡単な日本語(単語)を覚えていき
食べる前に「いただきます」食べたあとに「ごちそうさまでした」を言える様になっていた。
洗い物を終えてやる事が無くなる。暇になると時間のかかる料理を作りたくなるもの。
スミーが旅の最中に喜んでいた食べ物を思い出して色々チョイスした結果カツカレーを作ることにした。
おいしいカレーの一番簡単な方法、それは大量の玉ねぎと圧力鍋を使うこと。
短時間で野菜が柔らかくなり、野菜の甘みが強くなる。それを皿に煮込んで野菜スープが出来る。
カレールゥを入れて、隠し味にニンニクと珈琲を少々。
カツ用に肉の筋切りをしていたスミーが反応した。
次にカツを作り始める。スミーにはパン粉をさらに細かく砕いてもらう。
薄っすら小麦粉をつけ、余分なのを落とす。
サラダ油を少し入れた溶き卵を潜らせたらスミーのパン粉をつけて、軽く握ってくっつける。
しばらく馴染ませてからじっくり揚げる。
ウトロで食べたコンビニカレーにカツを入れて食べたのを思い出したのか、とても良い反応。
揚げている間、日記らしきノートに図入りで色々書いていたからフィンランドでも多分作る気なんだろう。
油を切って、更にオーブンレンジで軽く熱通し。究極にカラッとしたカツが出来た。
なんだかんだで良い時間、このまま夕食に。
食後、歩くと痛いと言うので抱っこしてお風呂へ運んだり
おんぶして近くの自販機でジュースを買いに行ったりはしたが、特に何も無く一日が過ぎていった。
スミーはついにマリオをクリアした。平和な一日だった。
寝る前に「足が痛かったり、トイレに行きたかったら起こして」と言って近くに布団を敷いて寝る。
14日目朝。起きるとスミーが人の布団の中に居た。
スミーが寝ていた布団に目をやるとぐっちゃぐちゃ。
多分寝ている間に蹴飛ばし、寒くなって人の布団に移動して来たようだ。
ソッと抜け出し、自分の顔に水性マジックで鼻と口から出血してる落書きと
紙に「スミー」とダイイングメッセージを書いてタヒんだふりをする。
スミーが起きる
ペチペチ( ・A・)ノシ))˙-˙)ペチペチ
凄く顔をペチペチされた。
足の調子を聞くと、まだ少し痛いと言うので湿布を交換してテーピング。
今日は外行きたいけどどうしようか、などと考えていると
隣兄の部屋で隣兄と隣姉が朝から喧嘩をしている。
半年近く付き合っていて何故同棲しないのか気になるが、まぁそれぞれ思うことがあるんだろうな。
スミーは少し眠そうだったので二度寝。自分はクリーニングに出していた隣姉の服の回収。
家に戻り、お礼にカレーをタッパーにいれて服と一緒に持ち、隣姉の部屋をピンポンする。
不機嫌そうに出て来たが、お礼を言ってカレーを渡す。
「ちょっと愚痴って良い?」
なんでも朝飯のご飯の硬さが固い、柔らかいがきっかけで
「ご飯くらいちゃんと炊けよ」と言われてもめたらしい。本当にどうでもいい喧嘩だ。
「炊く前に米の高さを斜めにしておくと柔らかいのも硬いのも同時に作れますよ」
「そうなの?」
「マジです」
愚痴が止まったので自分の部屋に戻り、カレーをタッパーにいれて今度は隣兄に荷物受け取りのお礼に。
「俺です、昨日帰ってくるの遅かったみたいだから今日お礼持ってきました」
「おぉ有難う」
「また喧嘩したみたいですね」
「色々あってな。ちょっと上がってくれ」
隣兄はかなり真面目に色々話してくれた。
開陽台のライダープロポーズの話を聞いて、隣姉との結婚を真剣に考えている事を聞いた。
「その話を隣姉にしましたか?」
「まだしてない」
「生意気言いますが、姉には丁寧に言わないと伝わらないっすよ。」
「クソ生意気な意見ありがとう、でも確かにそうだな。」
兄の部屋から戻ると放置されていたスミーがご立腹。
事情を話すと実に興味深い反応。国は違っても恋話は楽しいみたい。
今日は近くにある原生林公園の一部を散策して楽しむ事にした。
リヤカーにクッションを置き、スミーを載せてゆっくり歩いて行く。
程良く汗をかきつつ、景色を眺めながら休んで水を飲みまた歩き出す。時折すれ違う人が苦笑いしていた。
スミーをドナドナしていると、コココココとキツツキ(アカゲラ?)が木を掘る音。
キョロキョロと鳥を探したりして楽しそうだ。喜んでもらえるのは嬉しい。
まぁリヤカーで引っ張ってもらえたら普通に楽しいだろうけど。
帰り道、パンを買って帰る。
おんぶして入ったからか最初はちょっと変な目で見られたが、
幾つかパンを選んで会計する時に色々パンを多めに入れてもらった。
再びスミーをドナドナして行く。
アパートの前に来ると隣兄と隣姉がまたバーベキューの準備をしていた。
ご飯の硬さ問題が解決したお礼だとか言っていたが、単に飲みたいだけだと思う。
スミーは二人の様子を見ていた。
結婚するんですか?隣姉がピクッと反応して顔が赤くなりながらmay beと。
隣兄は英語がわからないからか不思議そうな顔をして俺に聞いてきた。
「太らないんですか?って聞かれて、多分って答えてましたよ」
と教えてあげる。隣姉が肩を殴ってきた。
肉を焼いたり串焼きを置いたり、パンを端っこで温めたりしながら夜は深くなっていく。
スミーも隣姉も飲みながら色々ヒソヒソ話。
兄に何話しているのか尋ねられるたびに「貧乳に悩んでるっぽいです」
「むだ毛処理の相談みたいです」「ウェストの悩みみたいです」等と答えていたらまた肩を殴られた。
意味のわからないスミーはそれをみてニコニコ
酔った隣姉は隣兄に「私を抱っこしろ」と、強気に甘える発言をしている。
これはツンデレなのかな。などと思っていた。
「流星群来ているんですよ、天気良かったら見にいきませんか?」
「いいね!」
「スミー、Do you want to see shooting star tomorrow?」
(*´ω`*)yes
明日夜の予定は決まった。スミーをおんぶして部屋に置いて、後片付けを手伝う。
「あの子足大丈夫?」
「いや、多分怪我していません」
「わかってたの?」
「えぇ。手当していて違和感ありました、重心も怪我人と違います」
多分ホームシックみたいな状態、人恋しく
だけどまだ北海道を離れたくない。そんな状態なのだろうと思っていた。
「姉さん、そろそろ覚悟決まりました?」
「何が?」
「何となくわかってるでしょ?」
「んー、ついに私も来たのかーって感じだよ正直」
「閉経が来たんですか?」
「このタイミングでそのネタ言えるお前すげぇよ」
「まぁ、兄は本気で姉さんラブ。それだけは嘘じゃないです」
隣兄が吐いてる音が聞こえる。
「あのバカの面倒見てくるわ」
「俺もスミーの様子見てきます」
部屋に戻るとスミーは日記をカリカリ。邪魔しないでおこう。
風呂を洗い、残り少ないシャンプーの中に着色料を入れて
血が出る様に見える細工し、お湯を貯める。
「スミー、take a bath」
(っ・ω・)っだっこして運べの状態
だっこしてお風呂場へ。暫くしてスミーが悲鳴を上げて飛び出てきた。
慌ててバスタオルをかけて、ジョークだと謝る。ちょっとやりすぎてしまった。
落ち着いたスミーに怒られながら「足大丈夫?」と聞くと、治った!と言っている。
なかなか風呂に戻らないので、結局怖がらないように扉越しに座って風呂上りを待った。
スミーが風呂を上がったのでコンビニに誘い、ハーゲンダッツを買って渡す。
これで機嫌が良くなったから笑える。家に戻って風呂に入る。
暫くしてスミーが風呂の電気を消した。
予想済みだったので風呂場で転んだような音を立てて、
血みたいなシャンプーを洗い場に垂らし、頭を押さえて座る。
スミーが心配して風呂を覗いて悲鳴。大成功!
泣きながら肩を叩かれた。風呂から上がるとスミーはちょっと不機嫌。
黙ってマリオをつけてスミーに2コンを渡して始める。
約6分後ノーミス全面クリア。スミーは驚いていた。
スミーもゲームをクリアして、ぬくったーの時間。布団を敷いて電気を消す。
スミーが転がってくるので脇腹を突っついて笑わせたりしているうちに
眠くなったみたいで、グッスリ眠れた。
起床。今日の予定は近場の巨大公園キャンプ場で流星群を見る事を伝える。
スミーの服だけ旅仕様なのは可哀想なので、最初に大型衣料品店に行く。
真っ青なTシャツと真っ白なYシャツとジーンズを買い、嬉しそうだ。
フィンランドの国旗でも意識したのかと聞いてみたら、その通りだった。
じゃあ俺も日本の国旗だ!と赤いTシャツを購入。
こんな馬鹿な買物は初めてだったが、気兼ねしない異性の買物はとても楽しかった。
帰りに炭と酒とシートを買ってアパートに戻り、
外出中の隣兄部屋の前へ買ってきた荷物と重めの物を置き
【先にキャンプ場行ってます。車でこれ運んで貰えたら隣姉のパソツあげます】と書き置きしておく。
自分の部屋で着替え、フィンランド仕様の服に着替えたスミーと一緒に
テントと固形燃料、星座早見板と望遠鏡を持ってキャンプ場へ向かう。
途中でプロポーズカップルから近くに来たけど飯食べない?と連絡が入る。
状況を説明すると「そこにキャンプ場あるなら今日はそこに泊まるわ!」と、良い返事。
スミーにその話を伝えるとニコニコしていた。
途中で発泡スチロール製ボックスに肉とか野菜とか大量に入れて
スミーの発泡スチロール製ボックスにはライダーさん達の
婚約祝に買ったホールケーキを入れてゆっくりキャンプ場に向かう。
受付を済ませ、スミーと自分のテントを設置しているとカップルライダーも到着。
苫小牧から札幌に向かう途中だったらしく、直ぐに来れたとの事。
カップルライダーさんも隣にテントを設営。
火を起こし、飲みながら道中の思い出話をダラダラとしていると隣兄姉も到着。
カップルライダーの存在に驚いていたが、すぐに打ち解けて飲み始めた。
ただ、一番の問題は三組揃って大量に買込んできた最低14人分の食材をどうするか。
キャンプ場内にはあと数組のライダーとチャリダーが居たので、声を掛けて宴会がスタートした。
最初は黙っていたスミーだったが、
隣姉も適度にフォローをしてくれたので直ぐに笑顔を見せるようになった。
バイト代を貯めて旅する大学生、仕事を辞めて旅する人、退職して旅する人
いろんな人達が肉を食べ、持ち寄った酒を飲み、泣いたり笑ったり。
日が落ちて暫くして流れ星が見え始める。
「流れ星みようぜ!」
みんなで横になって沢山の流れ星を眺めた。
流れ星の度に聞こえる歓声の中
自分は望遠鏡でスミーに北斗七星の連星を見せたり、土星の輪が見られないかチャレンジ。
暫くして少し離れた所にいた兄が姉に何かを話し始めた。
そして「結婚して下さい」周りに聞こえる男らしいプロポーズがハッキリ聞こえた。
直後に「はい、こちらこそお願いします」涙声の返事が小さく聞こえた。
おめでとう!カップルライダーが言う。次いで定年退職した旅人も。
普通に退職したライダー学生ライダーも。
スミーも二人が祝福されている事で何が起きたか理解したらしく、泣きだした。
起き上がり、ランタンに火を灯す。
発泡スチロールからケーキを取り出し
「本当はカップルライダーさんたちに持ってきたんですがね」
「兄姉も一緒にカットして下さい」
結婚式でも無いけれど、四人でならんでケーキ入刀。
爪楊枝で食べるサイズになったケーキをわけながら食べ、祝賀会が始まった。
みんな浴びるように飲み始める。シャワーが無いのにビール掛けしてるし。
そんな様子を見ていたら俺もつい嬉し泣きしそうになり、トイレに逃げる。
スタックして出られなくなった兄の車を押して助けて二人で雪を片付けるようになり
それを知った姉がうちらに温かい飲み物を出すようになって
アパートの周りに雪だるまを作ったりして始まった交流。
多分一つでも何かがズレていたら
今のプロポーズにはならなかったであろう様々なことが思い出され、涙が止まらない。
北海道に来てよかった。
暫くして落ち着いてトイレから出るとスミーが外で待っていた。スミーにお礼を言う。
スミーが居たからライダーさんたちのプロポーズに出会えた事
ライダーさんたちのプロポーズを知った隣兄が覚悟を決めた事
一生懸命つたない英語で話しかける。
理解してくれたかはわからないけど、スミーは手を繋いでくれた。
スミーと二人で泣いて、そして笑った。
キャンプサイトに戻ると、プロポーズ仲間となった二組は
両親に挨拶に行かなきゃとか、そんな話をしていた。
自分とスミーはまだ残っている食材を焼いて摘む。
時間が経ち、酔ってフラフラになったライダーさん
チャリダーさん達がそれぞれのテントへ消えていく。
カップルライダーさん達もケーキのお礼を言ってテントへ。
隣兄姉はテントを見事に忘れていた。
飲んでいるからアパートに取りに戻ることも出来ないし
車で寝るか、とか普段なら喧嘩しているような状態にも関わらず
建設的な事を言っていたので自分のテントを貸してあげた。
狭いテントの一人用寝袋に二人で入って寝苦しい夜を過ごせばいいんだ。
一人で星を眺めていると、スミーがテントから出て来て隣に座った。
手を繋ぐ。流れ星が通過する度に(´・ω・`)おー!と、小さく呟く。
東の空が仄かに青くなりだした頃、半分眠っているスミーをお姫様抱っこしてテントに戻る。
そのまま寝た。
朝、酔い潰れていたグループが目覚める。
「寝過ぎた!」「気持ち悪い!」「フェリー間にあわねぇ!」
等と元気な声が聞こえる中、隣兄姉も起きてきた。
「わりぃ、寝袋買って返すわ」
昨夜微妙にカサカサとテント動く音が聞こえたし荒い息も微妙に聞こえてきたし
きっと暑くて寝苦しく、寝汗がすごかったんだろうな。そう考えておこう。
隣兄姉は仲良く歯磨きに行った。
「おはー」カップルライダーさん達も出て来た。
今日はこのまま小樽に向かうとの事で、明日北海道を離れるらしい。
宴会の後片付けはこちらでやる事を告げて彼らは手を振りながら去っていった。
それを追うように他の人達も出発。
残った四人で後片付けをして、大きな荷物を兄車で運んでもらい
スミーと自分は自転車で戻る事にした。
アパートに戻ると、隣兄姉が荷物をまとめて待っていてくれた。
「お盆でちょうどいいから今から実家に隣嫁つれて挨拶に行って来るわ!」
大量に余ったお酒を貰い、隣兄姉も旅立って行った。あの人ほんと自由だな。
アパートには住人が俺一人だけ。
スミーが帰る日も近いし、何かやりたいことないかを尋ねる。
取り敢えず部屋に戻る。お酒を冷蔵庫に入れる。
スミーは今日の入浴剤を選んでお風呂へ行った。
部屋の窓を開け、風を通しながら21歳の夏に起きた出来事を思い出していた。
真新しいノートを取り出し、表紙に北海道を描き
この2週間の滞在箇所に1.2.と数字を書き、対応するページに写真を貼って
余ったスペースに簡単な単語で何があったかを書いていく。
最終日にスミーに渡してあげよう。帰国してから何度か見てくれたら嬉しい。
一時間もかからず作業が終わったので本棚に隠しておいた。
入れ替わりで風呂に入り、上がるとスミーが日記をカリカリ書いていた。相変わらず読めない。
退屈なので脇腹を突っついてみる。
Σ(っ゜Д゜;)っ|日記にズバーって線が伸びた。肩を叩かれた。
やることが無いので外出。
札幌駅につき、そのまま百貨店でスミーに浴衣を選んで貰い
荷物を駅ロッカーに入れて盆祭り会場へ。
祭りを見て回り、露店を覗いて食べ物を買う。
時々ナンパしてくる人が居たが、
相変わらずの人見知りで無表情と変化する為問題は無かった。面倒なので手を繋いで歩く。
酔っぱらいが増えてきたので、撤収。JRに乗り我が家に戻る。
部屋に戻り、スミーが私服に戻る。スミーに何処か行きたい所はないのか尋ねる。
せっかく旅に来たんだし、好きな事しなくてどうする。
ガチ泣き。そしてまぁ色々あった。
次の日。
まだ自転車乗ったら痛そうだから嫌、と布団から出てこないので
朝食を軽く食べたあと一緒にマリオ3をしたり、テトリスをしたり。
目が疲れてきて布団でゴロゴロしたスミーを見つつ、素早く天ぷらを作る。
やっぱり海老が大好きらしくチマチマ大事そうに食べるので自分のをあげる
今日は動きたくないと言うので、そのまま昼寝したり、ゲームしたり。
夕方近くなったら二人で野菜切ってすき焼きを作る。
しらたきだけはイマイチな反応だったが、他は黙々と食べていた。
夕食を終え、風呂を貯めている間
また日記をカリカリと書いていたので何を書いているのか尋ねてみると(〃艸〃)シークレット
書いているので先に風呂入ってと言われて入っているとスミーも入って来た。
出ようとすると(*´ω`*)フィンランドは男女でサウナ入るよ
といわれ、結局二人で入ることに。
人の胸元に背中を預けながら嬉しそうに笑うスミー
でもあと何回こうやってじゃれ合う事ができるのかと考えたら切なくなった。
風呂から上がり、スミーを座らせて髪を乾かす。
ドライヤーの風に八ラ八ラと綺麗な髪が踊る。
お盆が終わる。ゲームをして笑って時間が過ぎていく。
電気を消して布団に横になる。スミーが潜り込んできて笑う。
朝を迎える。
布団を干して、スミーの浴衣をクリーニングに出し、荷物をまとめて国外郵送の準備をする。
帰宅して昼寝してゲームして、もう一度食べたいと言ったカツカレーを作り、また一日が過ぎていく。
夜に隣兄姉が戻って来た。
スミーが隣姉にいらないことを言ったせいでニヤニヤされながら宴会が始まった。
9月の連休に隣姉の実家に挨拶が決まったと聞く。
二人は明日から仕事と言う事だったので早めに切り上げ、スミーとお風呂に入り、一緒に寝た。
スミーの荷物を郵送手続き。
次来る時には荷物をこっちに送れば楽だね!とはしゃぐスミーを見て胸が苦しくなる。
前の様に円高であればバイト代を貯めて行けたかもしれないが、ちょっと厳しい。
残りの荷物は自転車と1日分の着替えと貴重品の入ったバッグだけになった。
大学生協でレンタカーを予約。明日スミーを乗せて空港に行けばスミーの旅が終わる。
帰宅。仕事帰りの隣兄姉がスミーにお別れの挨拶を兼ねてやって来た。
近くのファミレスでハンバーグを食べながら送別会。
「二人の時間を大切にしろよ」と隣姉の気遣いが嬉しかった。
帰宅し、スミーとお風呂に入る。風呂上りに髪を乾かす。
(*´ω`*)初めて会った時は怖かった。この部屋に来るのも怖かった。
(*´ω`*)でも良い人だった。旅楽しかった。花火綺麗だった。
(´;ω;`)色々食べた。キャンプ楽しかった。旅が終わる日が嫌だった。
( TДT)終わらなくて嬉しかった。隣兄姉が結婚してよかった。会えてよかった。
ゆっくり、わかりやすい言葉で伝えてくれるスミー。
脇腹をくすぐり笑って夜が終わった。
朝レンタカーが届いた。
自転車と荷物を載せ、スミーが乗る。隣兄姉が見送りながら空港へ向かった。
運転していると、旅人たちを抜き、或いはすれ違って行く。
皆どんな旅をしていくのだろう。そしてどんな旅をしたのだろう。
スミーは北海道最後の景色を目に焼き付けるように車外を見つめていた。
空港の駐車場へつき、輪行袋に入った自転車とバッグを出す。
俺は昨日までの写真を貼った2冊のノートを取り出し渡す。
1冊は旅の様子、もう1冊はアパートについてからの生活のノート。
ペラペラと捲り、スミーが泣き出す。脇腹を突っつく。そして笑う。
最後に小樽で買った青いガラス球のネックレスをかける。空港へスミーが入っていった。
帰宅。お客様用布団を干そうとすると、下からスミーの残したメモが出て来た。
ゲーム機の下から、冷蔵庫の中から、洗濯機の中から。
【鈍感】
【また来る】
【日本語難しい】
【結婚おめでとう】
泣いた。多分それまでの人生全ての涙を合わせても足りないくらい泣いた。
隣兄姉がピンポンしてきた。泣きながらスミーの残したメモを見て三人揃って泣いた。
今思い返しても色々あったなぁ。その後も色々あった。
スミーがまた来たり、スミー父が来たり、スミー妹が来たり。取り敢えず省略。
数年後、卒業が決まったとスミーから連絡が入る。
そして夏、長めの休みを貰いスミーを迎えに空港へ向かう。
アパートに戻り、荷物をまとめてから飛行機に乗って実家へ。
紹介を済ませ、2泊して再び北海道へ。
飛行場から戻り、スミーを某所へ連れて行く。
「私はお金をためたらここでペンションをやりたいと思っています」
「いいですね」
「迷惑をかけるかもしれません」
「笑顔で頑張ります」
「それでも結婚してもらえますか?」
「それは違います。結婚しましょう、ですよ。」
ニコニコと笑うスミーの左手に指輪をつける。
アパートへ戻り、隣兄姉と隣後輩に結婚を報告。派手に祝福をしてもらった。
次いでフィンランドへ行く。スミー一家に歓迎される。
サウナでバシバシ叩かれたり、色々あったけれど良い思い出になった。
結婚に必要な書類をパパさんから貰い、日本に戻る。休み明け、会社に結婚を報告。
スミーは直ぐに外国語教室に就職が決まり、2馬力で頑張り続けた。
2008年、先ず隣後輩がアパートを去り、2人目が産まれる隣兄姉も去った。
そして自分達も産まれる子供の為に移り住む事にした。
色々な思い出を作ってくれたアパートにお礼を言い、次のアパートへ。
そして今年、スミー父の援助もあり、サウナと露天風呂のついた小さなペンションを建て終える。
夏、ペンションでスミーと10年遅れの結婚式を上げた。
隣後輩と彼女、隣兄姉と子供達、ライダーカップルさんと子供達、スミー一家だけの小さな結婚式。
祝福を受けながら色々思い出す。
北海道に来て人生が変わった。旅をして人生が変わった。
これから何が変わるかはわからない。
けれどスミー達とならずっと笑いながらきっと楽しくやって行けると思う。
と言う昔話でした。
何人がこの話を最後まで見てくれたかわからないけれど、
取り敢えず何をしたらよいか悩んだら旅にでてみれば良い事がある。
 貼らなかった内容を少し
お義父さんはあちらで旅行業を営んでいる為、
その関係でスミー姉妹が気軽に旅行に出来る環境でした。
スミー姉妹が言うに、日本人のテレビに出る人達は筋肉が無い、女みたいで気持ち悪いそう。
基本的に他人に関わらないのがフィンランドの慣習みたいですが
何かきっかけがあると非常に仲良くなります。
ネコみたいな性格だなぁ、と思っています。ケンカはあまりしません。
スミーのしたい事には極力口を出しませんし
自分がしたい事はちゃんと話せばやらせてもらえます。
旅すると嫌でも人と優しい気持ちで交流できますので、チャレンジして欲しいなと思います。
特に海外の人は頼る相手が居なくて困っていたりします。
 フィンランドについて少しだけ
あまり美味しいとは思えない料理が昔は多かったですが
10年くらいで味が良くなっているみたいです。
地図だとわかりにくいですが、
ヨーロッパの中で日本に近い国なんですよね。地球儀で見るとわかると思います。
夏は白夜、冬は極夜と言う極端な経験も出来る自然豊かな国でもあります。
どうやって付き合ったのですか?と良く聞かれますが、
逆にどうすれば日本人女性と付き合えるのか私が知りたかったです。
直ぐ別れてしまっていましたし。
日本人はモテますか?と言う点ですが、何とも言えません。
国が違うだけですし。ただ、良い印象はあるみたいです。
スミーパパは日本の万年筆とボールペンが好きらしく、
ママさんはフルーチェと包丁がお気に入りですね。
向こうに行く機会があれば日本土産の参考に。
来年や再来年、これを読んだ事がきっかけで旅に出て知人を作ったり
巡り逢ったり、助けあったりする人が増えたら嬉しいです。
極端な話で言えば、知らない道を歩いてみたり
普段と逆の電車に乗ったり、普段より遠くの駅で降りてみるだけでも旅です。